セラピストクロストークライブ特別編 インタビュアー 濱田祥子さん
こんにちは。natural table運営メンバーの冨野玲子です。natural tableは、自然療法と深い関わりを持つメンバーたちが、その豊かな経験と知識を惜しみなく共有し合う素敵なコミュニティ。私もいつもセラピストとして刺激を受けながら、楽しく関わらせていただいています。
セラピストクロストークライブとは?
そのnatural tableの名物コンテンツが「セラピストクロストークライブ」です。このライブでは、自然療法はもちろんのこと、医療、東洋医学、教育、福祉、美容、スポーツ、ヒーリングなど……バラエティ豊かな専門家たちがナチュラルトークを繰り広げます。視聴はなんと無料! セラピストなら「見なきゃ損!」な、太っ腹すぎるコンテンツです。
これも運営メンバーたちの幅広い人脈の賜物で、私はクロストークライブのゲストが発表されるたびに、「友達の友達は、みな友達だ。世界に広げよう友達の〜輪!」を思い出します(古いですよね。知らない方、すみません!)。
さて、その輪が、なんとフランス南西部のケルシー地方、スヤックという街にまで広がりました! 第54回のクロストークライブは、natural tableの設立メンバーのひとり濱田祥子さんが、アロマセラピー界の巨匠ピエール・フランコム先生のラボを訪ね、インタビューしてくださったのです! この贅沢すぎる貴重なピエール先生のインタビューの内容をぜひ多くの方にも知っていただきたいと思い、勝手ながらレポートさせていただきます。

ピエール・フランコム先生とは?
ピエール・フランコム先生は、主要な芳香成分を数多く発見し、約40年に渡りその活性成分の研究をおこなった薬理学研究者。『フランス・アロマテラピー大全』(共著)、『薬用エッセンシャルオイルの科学』の著作があり、特にアロマテラピー分野に「精油のケモタイプ」という重要概念を導入し、ヘリクリサムやラヴィンツァラなどの植物から初めて精油の抽出をおこなった人。アロマセラピストなら、誰しもフランコム先生の恩恵を受けている、まさにアロマ界の巨匠なのです!

アロマセラピストの胸躍る!200種もの精油とアブソリュート
ライブ配信は、ラボの紹介から始まりました。4階建ての伝統的な建物を改装したラボの中はとても広く、1Fがショップ、2Fが製品開発などをおこなう研究所、3Fはセミナースペースだそうです。1Fのショップには、なんと200種にも渡るオイルが展示されており、中には激レアな精油やアブソリュートもあるそうです。インターネット配信では香りを試すことはできませんが(できたらいいのに……)、たくさんのオイルボトル見るだけでも、アロマセラピストとしてワクワクと気分が盛り上がり、胸が躍ります。

超貴重!世界の伝統的なアロマグッズの所蔵品
そして更に、超貴重なコレクションも展示されていました。ざっとご紹介くださっただけでも、古代ギリシャやローマ時代の香油入れ、古代エジプト時代の化粧用の容器、紀元前に使われていた香炉、中国やベトナムの香炉、中国の皇后が愛用した象牙の香入れ、アフリカの薬草入れ、19世紀の伝統的なアランビックの蒸留器、ルイ16世時代の香水入れ、ナポレオン3世時代の香水入れ、マダガスカル産のカンファーの木でできた碑、ローズウッドの化石など。そして、日本の品もありました! 19世紀の化粧セットや芸者の鏡です。ピエール先生のラボは、まるで博物館や美術館のようです。化学や薬理学だけではなく、歴史や文化、芸術にも造詣の深いピエール先生らしい所蔵品の数々を見せていただき、本当に感激しました。
ラボには、ジャワ島の原生林の中で撮った写真や、マダガスカルの森の中でガイドさん達と撮った写真など、若かりし頃のピエール先生の写真も飾られていました。昔から、植物が生まれ育った土地に実際に足を運び、地元の人たちと共に生活して協力しながら芳香植物の研究をおこなってきたピエール先生の軌跡を垣間見ることができ、嬉しかったです。

ピエール先生の最新情報 3週間の南米の旅
ピエール先生が芳香植物の産地に足を運び、調査や研究をおこなっているのは、昔の話だけではありません。インタビューでは、ピエール先生がこの夏に訪問した南米の話をしてくださいました。
ペルー北部の乾燥した土地で、山を登ってパロサントを収穫し、木を背負って下山して精油を抽出する一連の作業をビデオに収めたそうです。アマゾンでは、毒蛇や毒グモなどの危険動物もいるジャングルの中で、ローズウッドの葉の蒸留をおこなったそうです。以前は絶滅の危機に瀕していたローズウッドですが、最近では植林が進んでいます。その木部だけではなく葉も蒸留されているそうで、葉の精油はリナロールだけではなくシネオールも含むとのことでした。
ピエール先生は、更にインカ帝国の遺跡マチュピチュの南、4000m級の山に登って、Luma Chequen(チリのホワイトマートル)の蒸留をおこなったそうです。また、詳細は未発表ですが、新しく発見したヘリクリサムに似た香りを持つキク科植物の精油の分析中であり、その化学組成と用途などが確認でき次第、ラボでお披露目&販売予定なのだそうです。
芳香植物を豊富に産出するペルーでは、近年、精油の病院の中での活用が注目を集めていて、特にリハビリテーションの分野やリウマチの痛みの緩和、IBS(過敏性腸症候群)への対処としても精油の活用が進んでいるそうです。ピエール先生の研究が、精油の産地で暮らす方々に役立っているなんて、本当に素晴らしいですね。
ピエール先生の最新情報 リトアニアでの講演
3週間に渡る精油の産地を巡る過酷な(!)南米の旅を終えたピエール先生は、帰国後まもなくリトアニアに向かったそうです。本当にタフですよね。リトアニアはアロマセラピーが盛んにおこなわれている国のひとつで、ナチュロパス(自然療法士)が病院の中で患者さんへアロマセラピーマッサージをおこなっていて、その効果が注目されているのだそうです。
ピエール先生は、先日リトアニアで開催されたシンポジウムで、精油と痛みに関する講演をおこなったとのこと。精油の中にモルヒネと同等の鎮痛効果のある成分もあり、激しい痛みに対しても有効なのだといった内容を発表したそうです。ピエール先生が昔からずっと取り組まれてきた精油の薬理作用についての研究が、多くの方に知られ、そして役立っていること、とても嬉しく思いました。
終わりに
「ラボがあるケルシー地方は、豊かなラベンダーフィールド、そして美味しい食べ物がたくさんあります。遊びに来てください! 日本にもまた行きたいと思います!」と、とってもフレンドリーにインタビューを締めくくってくださったピエール先生。
アロマセラピーの世界的な巨匠が、御年80歳を過ぎても芳香植物への情熱を持ち続け、世界を飛び回って研究を続けていること、そして日本の視聴者に対してこんなに丁寧でフレンドリーに貴重な所蔵品を見せてくださり、インタビューに応じてくださったことに、とても感激しました。このような超大物ゲストが身近な存在に感じられる……、これもnatural tableの良さですね。これからも、natural table、そしてクロストークライブから目が離せません!
今回のインタビューを企画、実施してくださいました濱田祥子さん、ありがとうございました!
ピエール・フランコム先生へのインタビューを含む、過去のクロストークライブはこちらから視聴いただけます。

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自然療法の国際総合学院IMSI学院長。学生時代にベトナムで東洋医学とハーブに出逢う。「効果があって禁忌がない」自然療法を求めて世界を旅し、英国でアロマセラピー、ベトナムでディエンチャン顔反射療法、南アフリカでリフレクソロジーを学ぶ。自然療法を楽しく、分かりやすく、実践しやすい形で伝えることを使命としている。自然療法の国際総合学院IMSI