文通ブログ 濱田祥子さんと市邊昌史さん 2−2

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natural tableは世界と繋がるコミュニティー

祥子さん

ところで、祥子さんは『セラピストの仕事はAIには取って代わることができない唯一無二のものだと思います』とおっしゃってますよね。そこで、それに応えるために、少し今回は違う視点から考えてみることにしましょう。

なぜなら、複合的に物事を考えなければ極めて急速に物事も価値観も社会形態もすごいスピードで変化してきているのですから。

日本は年齢や役職による決定権など、逆ピラミッドの社会形態のため、茹でガエルのようにサンクコストに強くひっぱられ、人材も会社も若者の教育形態すらもこのままではガラパゴス化は必至です。

ヨーロッパの多層な文明や発展途上で活気あふれるアフリカ諸国などから未来を学ばなければなりません。例えば、アフリカ諸国などな開発途上の国々は道路整備に力を入れず、道路よりもドローンによる物流や空飛ぶ車の構想を構築しています。道路の建設と維持には莫大な費用と時間がかかるためです。

それは、固定電話にかかる費用と時間よりも、携帯電話のインフラ整備のコストのほうがはるかに安上げりで、しかも電話ばかりか、利便性において敏速にインターネット情報やメール、カメラなどの高機能なガジェットであることも証明しています。

このような先進の文明国家から長所も短所もショートカットして学びとる開発途上の国々から、逆に学ぶ柔軟な発想を知る必要があるのです。

しかし、自然科学が考える世界は広範であり、まだまだ未知数です。そして、追い求めていることの真実は果たして普遍的なものでしょうか。まだまだ、世界は未知数です。そんなハイスピードの変化の世の中です。

そごで、セラピストの仕事のように、そのメンテナンスを希望するという顧客は、何らかの愁訴や精神的ストレスからの解放、リラックスなどがセラピストへの欲求としてあるわけですよね。顧客が望む主観的な欲求が存在しているわけです。AIでの解決法には、果たして主観よる複合的な欲求が理解できるのでしょうか?

セラピストがますます必要なことは、現代社会では、人は個人の意思や認識というものをより重んじる傾向があります。

あらゆる情報を瞬時に取り入れられるツールがある社会では自らの認識によって個々に自分なりの考えをそこから紐解き持てるからです。

それは個人という意識が芽生え、育まれ社会的な存在として感情や個々の価値観が大きな要素を占めてきました。今や生物学的にも自然科学よりも心理的因子や社会的因子が個々の価値観と複合して個性化の役割をますます担ってきています。

このような今までとは比較にならない社会全てにおける変化はストレスの増大につながります。

それは医学技術の力や福祉の力により、環境の障害さえ乗り越えることがすでに可能になり、今まで病気と考えられてきた視覚障害や聴覚障害など多くの障害や偏見も、一つの個性や才能に取って代わられることになるわけですし、例えば嗅覚障害のように社会で大きな差し障りがなければ、今でもほぼ個性とみなせるわけですから。

LGBTQがメディアに偏見と捉えられてきた時代の敷居が取り払われ、男女の性差別がかなり低くなってきてます。障害というものへの優位や偏見、差別の視点も変わりつつあります。障害への認識など自立できるツールとともに薄れていくものだと思います。

確かに、このようなことはAIなど機械や科学文明のおかげに他なりません。
そして、文明科学の支えによって文化はより人の個性を上質な世界へともたらすに違いありません。

要は、正常か、あるいはそうでないかという判断や基準などは、絵を描くのが上手か下手かの違いであるように、とって足らないものになるでしょう。必ずしも人間の社会における複合的な生き方は科学的な基準で単純に測られるようなものではないということ。

文明はそれに貢献し、そのようにして人の作り上げていく文化は世界をまだまだ上質に作り上げて広げて行くものだと思います。セラピストや医師のように、過去には身体への仕事であったものが、ホリスティックに文化に貢献する仕事に深く関わるに違いないという未来を描くわけです。

今までの延長を考えるだけでなく、100年時代の描き方は、入り口が異なれば可能性が新たな社会の風景として、考え方も見え方も複眼的に描けると思います。

ですから、人間も多様な変化、多岐に進化して変わっていきます。ですから、祥子さんの仰るようにAIに取って代わられることは、私はないと思います。

市邊昌史

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【文通者プロフィール】

市邊昌史:natural table設立者。一般社団法人国際アロマセラピー研究所(ISA)代表。AAJ(現AEAJの前身)で国際委員長などを歴任し、国内外の多くのセラピストとの人脈を活かし次代のセラピスト育成や正しい自然療法普及のため「natural table」を設立。

濱田祥子:フランス在住22年。 アロマトローグ。アロマテラピー界の重鎮ピエール・フランコムに師事し、彼の著書『薬用エッセンシャルオイルの科学』(フレグランスジャーナル社)の総合監修を務める。《人、植物、地球のプラスの循環》を目指すサイエンス視点のアロマテラピーの啓蒙活動に尽力中。 「フランス アロマ授業ノート」主宰。

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