ルーブル美術館のBSの放映で『モナリザ』を眺めていて、はたして人間とは?その生き方を考えました。
現代社会の人間の営みを超えるようなハイスピードの時の変化の中、テロップに流れるレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉が心に突き刺さったからです。
『人は時があまりに早く過ぎ去ることを嘆くが、それは違う時は十分過ぎる時間をかけて移ろうことを知るべきである。我々は天から授かった力によって遠い記憶を目の前に感じることが出来るのだから 』(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
人間はあらゆるものを創造してきました。そして、貨幣は創造なのか、イリュージョンとしての想像なのか。平和と善行を経済にもたらそうとした経済学者のケインズが、貨幣を月の輝きに例えたのは有名な話です。
月はそれ自体が輝いている訳ではありません。太陽が照らすその輝きは不確実で、貨幣もまた同じなのだと述べています。おそらく、貨幣は欲望によって照らされているのだとでもいうのでしょうか。
そして、経済学は需要と供給における自然科学ではなく、道徳学なのだとも述べています。そこで、セラピストとSDGsを考えたとき、欲望は、人間の根元に根差したものですから単純に否定されるものではないでしょう。
ならば、欲望が目指す目的や意義を変えれば良いと思いませんか?我々は、コロナパンデミックの間、この世の中は、「お金の欲望」を追い求めない人によって社会は回っていました。
社会経済はそのような人々によって支えられてきたのは明らかです。我々はイヤというほど「お金の欲望」以外の大切さを知ったはずなのです。ならば、欲望が目指す目的や意義を、子供達をケアするために、明るい未来を託すために変えればいいと思いませんか!
これは私たちのnatural table をはじめ、セラピストの方々の願いではないのでしょうか。
祥子さん、これで私の文通はひとまず終えたいと思います。
市邊昌史
【文通者プロフィール】
市邊昌史:natural table設立者。一般社団法人国際アロマセラピー研究所(ISA)代表。AAJ(現AEAJの前身)で国際委員長などを歴任し、国内外の多くのセラピストとの人脈を活かし次代のセラピスト育成や正しい自然療法普及のため「natural table」を設立。
濱田祥子:フランス在住22年。 アロマトローグ。アロマテラピー界の重鎮ピエール・フランコムに師事し、彼の著書『薬用エッセンシャルオイルの科学』(フレグランスジャーナル社)の総合監修を務める。《人、植物、地球のプラスの循環》を目指すサイエンス視点のアロマテラピーの啓蒙活動に尽力中。 「フランス アロマ授業ノート」主宰。